マカロニ・ウエスタンの楽しみ

KoyanoYojimbouSinbun

昭和40年(1965年)12月25日、黒澤 明 監督の映画「用心棒」を西部劇化した「荒野の用心棒」(セルジオ・レオーネ監督/クリント・イーストウッド主演)が公開されると日本中で大ヒット、その後各配給会社により続々とイタリア製西部劇が輸入されました。日本ではこれらイタリア製西部劇のことを本家アメリカ製と区別して「マカロニウエスタン」と呼びました。(ちなみにアメリカやヨーロッパではスパゲッティウエスタンと呼ばれました。)登場する主人公はお尋ね者の賞金をもとめて荒野をさすらう用心棒や、親兄弟を殺され復讐を誓ったガンファイターなど強烈な個性を持っていました。また彼らが扱う武器も棺桶の中から機関銃を取り出し敵を皆殺しにしたり望遠スコープ付のライフル銃で遥かかなたから敵を狙い撃ちしたりとアイデア満載で、次々とヒットをとばしていきました。数年間続いたブームで日本で公開された作品数は劇場、TV放映あわせて150本以上、ブームがいかにすごかったかわかりますね。現在ではマカロニ・ウエスタンは、ほとんど製作されていませんが、最近公開されているアメリカ製西部劇を観ると、コスチュームや主人公の設定などは明らかにマカロニ・ウエスタンの影響をうけています。でもどこかパワー不足なんだなぁ。


なにが足りないのでしょう?それは、マカロニ・ウエスタンは音楽を非常に重要視し、画面と音楽を計算した映画造りをしていた(かどうか知らないが結果的に絶妙の効果をあげていた)のに対しアメリカ製にはそれを感じることができないからからではないでしょうか。

例えば、「続・夕陽のガンマン」のラストを思い出してください。墓場でテュコが黄金を探す場面に雄大な音楽がかぶさり、絶妙のカッティングとカメラワークで観るものをあきさせず、次の3角決闘まで一気に見せてくれました。決闘場面もお互い3人が銃を抜く瞬間までじらしながらも(約5分もある)音楽が緊迫感を増していき、まさに「決闘の美学」ともいうべきシーンを造りあげていました。マカロニ・ウエスタンにはこうした「音楽を聴かせるため」の場面が随所にあり、そのため何回も観て楽しむことができるのです。

荒野の用心棒 英版 ロビーカード


ジョージ・ヒルトン(真昼の用心棒独版ロビーカード)
私のマカロニ・ウエスタンとの出会いは20年以上前になりますが、TV放映の「真昼の用心棒」でした。当時中学生でTV放映の映画はなんでも観まくっていたのですが、なんの予備知識もなく目にした月曜ロードショウの「真昼の用心棒」がその後の「マカロニおたく」になるきっかけになりました。まず、音楽がすばらしかった!!!主題歌を聴いて感激した私は、すぐさま「ラジカセ」を持ってきて録音を始めました。それから主演のフランコ・ネロもかっこよかったけれども、ネロの兄貴役のジョージ・ヒルトンがよかった。ずたぼろの下着すがたでアル中だが銃の腕は確かで、敵の後ろから「おーい、だんながた」と声をかけ、相手がふりむきざまズド、ズド、ズドーンとぶちかまし、「声をかけてから撃ったんだからな。うらむなよ。」とうそぶく。その姿にしびれましたねー。


そして、その1週間後に「続・夕陽のガンマン」に出会ったことが「マカロニおたく」になる決定打になりました。ド派手な画面と豪快な音楽と銃声とが絶妙にマッチしたタイトルバック、鋭い眼光で圧倒的存在感のリー・バン・クリーフ、墓場で黄金を探す場面から3角決闘まで、2時間40分の映画が1時間30分に短縮されていようとも(当時は知らなかったが)十二分にマカロニ・ウエスタンの面白さを堪能しました。それからは、TVのマカロニ・ウエスタンは深夜まで欠かさずチェックし、サントラ盤を探して、どんどん「マカロニおたく」の深みにはまっていきました。 il buono.gif


さすらいのガンマン 伊版 ロビーカード

当時のTV放映の映画は90分枠が多かったため、映画の長さは実質70分くらいでした。肝心のクレジットタイトルを短縮したり、あるいはばっさりカット、また音楽がまるまる差し替えてあったり(音楽のマスターテープがなかったものは仕方ないが)、しかしそれでもカットされた場面を想像したりサントラを聴いておぎなったりして楽しんでいました。

現在、CDでかつての名盤が続々再発売され未発売だった作品も新たにリリースされています。以前はTVから録音したテープを聴いて我慢していたものも高音質で楽しめるようになりました。ビデオも数本ですがクオリティの高いものばかり発売されています。こういったものにふれて新しくマカロニ・ウエスタンのファンになったり、興味をもった方もみえるでしょう。SF・特撮ファンやアニメファンと違ってマカロニ・ウエスタン・ファンの横のつながりはほとんどないと思います。CDに収録された映画について知りたいことがあっても資料が少なく調べるのは困難だと思います。(特に未公開ものについては不可能でしょう)そんな時、お役に立てれば、と思いこのホームページをつくりました。未公開ものやマイナーなものもイタリア・オリジナル・ポスターやロビーカード等で当時の雰囲気をあじわっていただけたら幸いです。


TRE RAGAZZI D‘ORO とは
私(Django)が社会人になったころ、名古屋の喫茶店で「マカロニ・ウエスタン・サウンドトラック・コンサート」を主催していた人たちと知り合い、今までマカロニ・ウエスタンをいっしょに楽しんできました。残ったメンバーが3人だったので「TRERAGAZZID‘ORO」(黄金の3人/トム・ハンター、ジェームズ繁田主演の未公開マカロニの題名からとった)と名乗っています。(でも最近は仲間もふえ「7 DOLLARI SUL ROSSO」くらいになってしまった。)