暁の用心棒/Un Dollaro Tra i Denti (1966)


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Locandina




英語題名 Stranger in Town / A Dollar Between in The Teeth
監督 Vance Lewis
脚本 Giuseppe Mangione/Warren Garfield
撮影 Marcello Masciocchi
音楽 Benedetto Ghiglia
出演者 Tony Anthony, Frank Wolff, Gia Sandri,
Raf Baldassare, Jolanda Modio, Aldo Berti




暁の用心棒 レビュー

【ストーリー】

ゴーストタウンに“よそ者”(トニー・アンソニー)がやって来る。国境に近いその寒村では、不穏な陰謀が進行していた。合衆国政府がメキシコ政府へ貸与する金貨の中継地点になっているのを知った山賊のアギラ(フランク・ウォルフ)一味が、横取りを企んでいたのだ。酒場で手下の一人に恫喝された“よそ者”は、怯むことなく酒瓶で殴り倒すと、この村にしばし留まることを決める。

僧服に変装したアギラ一味は、村に到着したメキシコ政府軍兵士たちの隙をついて武装解除、兵士らを壁に並ばせると奪った彼らの機関銃で皆殺しにする。次に死体の制服を使い、メキシコ軍になりすます。様子を見ていた“よそ者”は、合衆国の陸軍将校だと名乗った上で、分け前と引換えに金貨の略奪に協力することを申し出る。
合衆国陸軍が到着、“よそ者”は機転を利かして陸軍に金貨を置いて立ち去るよう警告し、血を流すこと無くその強奪に成功する。本物の合衆国陸軍将校は、「必ず取り返すぞ」と“よそ者”に耳打ちした上で軍を引き連れ、村を去った。

成功を祝う一味の前に、“よそ者”が流れ者の正体を現す。だが、分け前を要求する彼にアギラは1ドル銀貨を投げ与えて侮辱したばかりか、捕らえて監禁してしまう。隙を見て“よそ者”は金貨を奪い逃走、今一歩と言うところで再びアギラに捕まってしまう。逃げ込んだ家の未亡人と共にアジトに連れて行かれ、凄惨なリンチに遭う“よそ者”。アギラは美しい未亡人に夢中になり、“よそ者”はサディスティックなアギラの情婦にゆだねられた。

“よそ者”はボロボロになりながらも情婦を殺し、金貨を奪い返して未亡人を救出、火薬庫を爆破し、アジトを脱出する。村にたどり着いた“よそ者”は、金貨を馬の水飲み場に隠し、未亡人から夫の形見の散弾銃を渡される。“よそ者”の後を追って、アギラ一味も村に戻って来た。ついに死闘が始まる。
未亡人を捕らえた手下を、散弾銃で吹き飛ばす“よそ者”。散開した手下たちを一人一人、頭を使って夜の闇の中で返り討ちにしていく。次第に夜が明け、暁になる頃には手下は皆殺しにされ、ゴーストタウンには“よそ者”とアギラだけが残った。

トロッコで身を隠す“よそ者”に、機関銃の弾丸を降り注ぐアギラ。とうとう弾も尽き、丸腰になったアギラを“よそ者”が殴り、蹴り倒す。リンチのお返しをした“よそ者”は最後の決闘を始める。それぞれに撃ち尽くした散弾銃と機関銃、先に弾丸を装填して相手を撃った方が勝ちだ。緊張の一瞬。機関銃を撃とうとしたアギラに、“よそ者”の必殺の一弾が放たれる。死んだアギラの口に1ドル銀貨をくわえさせ、隠しておいた金貨を取り出そうとする“よそ者”。その時、タイミング良く村に合衆国陸軍が戻って来た。陸軍将校にアギラ一味の賞金分+1ドルを除いた金貨を渡すと、“よそ者”は村を去って行く。


【解 説】

記念すべき、トニー・アンソニー主演のマカロニ第1作。その後、日本にまで遠征した“ストレンジャー”シリーズの1作目であり、さらにスペインに舞台を移し、奇想天外にストーリーが膨らんだ『Get Mean』、自らプロデュースした3Dマカロニの『荒野の復讐』などのアーキタイプとなった傑作でもあります。元型とは言え、その後展開されるトニー・アンソニー作品の魅力は全て詰まっているんですよ。

異境に紛れ込んでもポリシーを変えず、逆境にへこたれないそのキャラクターは、他のマカロニの主人公の様に復讐や怨念を引きずっているわけではなく、あくまでポジティブ。リストラに遭った多くのサラリーマンに支持されたと聞きます(嘘)。
2作目、3作目ともなると演技に余裕が出てきたのか、ニヤニヤ笑いに拍車がかかってハードボイルドな雰囲気を台無しにしてくれますが、この作品では初出演で緊張気味だったのか、おおいに格好良い表情をトニー・アンソニーは披露してくれてます。

異文化の中でカルチャー・ギャップをものともせず、郷に入っても己のルールを押し通す我が儘な性格、対立する勢力の中にお宝(大抵は大量の黄金か大勢の女)の匂いを敏感に嗅ぎ分け、隙あらば独り占めしようと企むそのせこい根性、ボコボコにされた時のA.ステファンに通じる情けなさの魅力、やられたらきっちり1ドル単位でやり返す会計監査士的ペイバック、何故か途中で手に入れる大口径の必殺兵器…観客がふだんやってみたいなと思ってる事を具現してくれるトニー・アンソニーは、娯楽映画の作り方をじゅうぶんに心得ています。

特にこの『暁の用心棒』は、マカロニウェスタンの魅力ともいうべき無数の“格好良さ”に満ち溢れているんですな。
アギラの手下を一人倒す毎に流れる、「“よそ者”のテーマ」。少しづつゴーストタウンの夜が明け、明るくなった時に残される敵の首領との一騎打ち。決闘の時の散弾銃を操る鮮やかな手際と、振り向きざま発砲するスタイリッシュなアクション。
シチュエーションやストーリーが『荒野の用心棒』に似ていながらぜんぜん同じ印象にならないのは、演出に工夫があり、スタッフやキャストに熱意が感じられるからです。低予算と言う限られた制約の中で最大限の工夫と努力をそそぎ込んだ、イタリア人スタッフ&キャストの意地が伝わって来るからなんです。

まずはだまされたと思って“ストレンジャー”シリーズの1作目、『暁の用心棒』をぜひ御覧になってみて下さい。2作目は…まあ、無理にとは言いませんが〜。…だまされますよお。

【蔵臼金助のプチGUN講座】

おそらく他のマカロニ作品とは違うルートで、小道具のGUNを登場させています。
“よそ者”が腰に下げてるマカロニ・イミテーション・コルト(真鍮製グリップフレーム、パトリッジ型リアサイト付きのアーティラリー)以外は、殆どが実銃なのです。あまり深くは想像したくありませんが、きっと予算が無くて、知り合いの軍隊(?)など、何らかのツテを頼ったのでしょう。それが結果的に、リアルで迫力のあるGUNファイト・シーンを生み出しました。限られた予算内で最大限の効果を上げるスタッフの努力が、こんな所にも現れているのです。

最大の見せ場は、最後の決闘で使われる“よそ者”の散弾銃 対 アギラの機関銃対決です。“よそ者”は、アンダー・レバー・アクションの有鶏頭サイド・バイ・サイド・ショットガンに、バカでかい鉛の弾頭の付いた単発弾を装填して使用します。一撃必殺の散弾銃で山賊を皆殺し、大鉛弾で大団円…なんちってね。
対するアギラが使うのは、第一次大戦時にオーストリア軍が航空機搭載用機銃として採用した、シュワルツローゼ 07/12であります。1890年代におけるこの銃の存在は99%の確率でオーパーツなんですが、カタカタと安っぽく動くハンマーがかえってリアルさを醸し出していますので、許してあげましょう。

セルジオ・レオーネですら、『荒野の用心棒』では“マカロニ・マシンガン”と呼ばれる張りぼての、チープなプロップを登場させていました。この映画でフィーディング・カバーを実際に開け、ベルト・リンクを通してバリバリ撃ちまくるシーンを観たレオーネは、嫉妬心にかられて『夕陽のギャングたち』でマキシム機関銃を出したと言われております(嘘)。

銃器の描写ばかりではありません。暗闇の中でのマズル・フラッシュしか見えない銃撃戦、山賊の手下どもをやっつける数々の殺しのテクニックなど、演出面でも他の作品にはない独自の工夫が見られる作品でした。
サイレンス




Fotobusta
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Tuesday, 30 January, 2001