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*** 他励式CDI製作記(3) ***

他励式CDI(3)
この製作記は、 考案したCDI点火装置の特徴とCDI点火装置の原理を理解して頂くために、 敢えて、電源部の発振回路はトランス部と分離した他励式とし、さらに シンクロスコープ写真を掲載し動作状況を説明させて頂く事にしました。 説明順として、(1)回路と部品、(2)製作、(3)動作説明 の順に説明させて頂きます。 (1)回路と部品、 下記に 回路図を示しました。 " 他励式CDI回路図 ” CDI <回路図の補足説明> 接続線が分かりにくく思えましたので、補足させて頂きます。 接続線は4本有り、回路図右、上から@IGコイルへ A(ポイント等)点火信号入力ヘ Bアースヘ C+12V(電源)ヘ <使用部品> 使用した部品とスペック、購入単価を掲載します。( いずれも限界値ではありません,参考値とお考え下さい ) (インバータ部) トランス :SL- 06500 (SEL製) ( 6-0-6V 500mA ) 830円/台 トランジスタ:2SC1815 * 2本 ( 60V 120mA 400mW ) 20円/個 ( 2SC945 → 2SC1815 ) 2SC1213 * 1本 ( 35V 500mA 400mW ) 20円/個 ( 2SC945 → 2SC1213 ) 2SD1406 * 2本 ( 60V 3A 20W ) 50円/個 ( 2SD1407 → 2SD1406 ) 抵抗 :1Ω 1/4W*2,330Ω 1W*1,1KΩ 1/4W*2,16KΩ 1/4W*2 {1/4Wは 5円/本,1Wは10円/本} コンデンサ :0.027μF 50WV *2 20円/個, 0.47μF 50WV *1 30円/個 (高圧部) サイリスタ :SF8JZ47(東芝製)( 600V 8A )130円/個 ダイオード :1000V 2A 整流用 *2 40円/本 コンデンサ :0.033μF 600WV 100円/個 *1, 1.0μF 600WV *1 300円/個 ネオンランプ:110V パイロットランプ 100円/本 抵抗 :1MΩ 1/2W*2 5円/本 (トリガー部) 抵抗 :120Ω 2W*3,470Ω 1/2W*1 {1/2Wは 5円/本,2Wは 20円/本} コンデンサ :0.1μF 25WV *5 5円/個 上記以外に、ケース( W/H/D:70/50/100 450円)、ユニバーサル基板*1(70円/枚)、7PL型ラグ板 *2個 ( 30円/個 )、 その他、ゴムブッシュ、ビス、ナット 、ワッシャー、リード線、シリコングリス、はんだ他が必要です。 (2).製作( 穴あけ1時間、はんだ付け(配線)2時間 )

     ”百聞は一見にしかず ”製作経緯を示す写真を掲載(上)しました。
     穴あけの1時間は位置決め(マーキング)も加えた時間です。穴開けのみは30分位です。
     配線2時間と記述しましたが、ビス、ナットによる部品取付け時間も含みます。
     初めて製作される場合や、最近製作されてない場合には、
    1回り大き目のケースの使用をお勧めします。
    ( W/H/D:90/60/125 560円 )
      回路図を参考に製作をお考えの方に、製作関係の説明はこれ以上は無駄だと思われましたので控えさせて頂きます。
     組立て終了後のチェックについて、参考にして頂ければ、と思い下に”CDI製作記(2) ”の抜粋を添付致しました。

< チェック > @配線が終わったら、特にダイオード、サイリスタ等 部品の足に種別が有る物の接続間違いの無い事を 注意して、確認をして下さい。( 回路図に色鉛筆で消し込みを入れれば、百点満点です ) A配線がOKならば、12V直流電源への接続トライです。 初めての接続が心配なら、まずは、アース線を(−)端子に、(+)端子には、+12V線ではなく、 点火信号入力(ポイント)線を接続して下さい。( 回路上 60Ωの抵抗を通じて +12V線に接続されます ) B電源をON、ネオンランプの点灯が確認できれば、ほぼ配線OK。 C机上点火テスターがあれば、最終チェックが可能です。 トリガー回路、点火用コンデンサーの配線チェックを行ないます。 Bまで配線のまま(+12V線は(+)端子に)、点火用コンデンサーの一端をIGコイルの1次側に配線。 電源をON、点火信号入力(ポイント)線を(−)端子に触れさせた時、ラグ端子ギャップ間にスパークが飛べば、 チェック完了。配線OKです。


  (3)動作説明 
    CDI点火装置が点火コンデンサに2〜300Vの電気エネルギーを貯え、
  着火タイミングになるとIGコイルの一次側に一挙に放電するため、二次側に高圧電流を発生し、
  着火性が大幅に向上する事は、前コンテンツの CDI点火装置の構成原理 に掲載しましたので、
  今回は、本機の動作原理の説明を”シンクロスコープの波形写真 ”を用いて説明します。
    
  左図のノコギリの刃状の波形は、CDIのSCRのA(アノード)側の電圧を示しています。
  縦軸は 50V/セル ,横軸は 2msec/セル です。( ピーク電圧は330V位を示しています。)
  下線は、SCRのG(ゲート)側の電圧を示しています。( 点火信号有り )
   概ね、4サイクル4気筒エンジンで 6000回転時に相当します。
  ( 机上試験装置で、回転相当数の点火信号を発生させています )
  インバータ出力電流により、点火エネルギーがチャージされ、SCRに点火信号が入力されると
  SCRはON(導通)状態となり、放電(点火)している事を示しています。( 急激な電圧下降部 )

   この点火エネルギーのチャージ曲線と点火コンデンサの容量を知れば、CDIの特性が解ります。
  経験的には、点火(プラグの火花放電)には、チャージ電圧として、200V弱 程度が必要です。
   点火必要電圧になるまで点火不能な訳ですから、急激にチャージ出来るもの程高回転までの点火が可能です。
  このチャージ特性を決定付ける要素は、インバータ出力容量と点火コンデンサの容量です。
  同時に点火コンデンサの容量は、一点火当りの点火エネルギー、着火性能に大きく影響する放電時間に深く関係します。
   従来のCDI点火装置のほとんどは、SCRを制御する観点からインバータ出力大容量化は不可でしたので、
  主に、点火コンデンサの容量を調整する事で 特性を調整していました。
        (余談ですが)本機は、インバータ出力大容量化を可能にし自由度は大きくなったので、
        特殊部品を使用せずに製作が可能となったのですが、その分選択子が増え部品の選定に時間がかかっております。
        多少費用(数千円)がかかってもトランスを特注すれば、もっと容易に製作出来たと思います。(ーー;; 

   次に、 インバータ出力電流により、点火エネルギーがチャージされている状況を撮影しました。
  左図は上図の横軸を 更に細かくした時に観察した波形を示しております。
  そして、さらに横軸を細かく、縦軸も細かくした波形が左下図です。
  チャージ曲線が細かいノコギリ波の積み重ねである事が解ります。
  この細かな波がインバータの波形です。
  CDI点火装置が、インバータ、SCRと点火コンデンサを部品とするCDI高圧部から
  構成されている事がお解り頂けるかと思います。
 これで、CDI点火装置がシンプルな構成である事がご理解頂けたでしょうか?

   付録として、低回転時のチャージ曲線も掲載しました。(右図) 
   チャージ電圧は、ある一定電圧(3百数十V)に向かって
                                         上昇している様子が伺えます。

5.おわり 敢えて、電源部の発振回路を他励式としたのは、従来方式のCDIではSCRの制御のため、放電(点火)後には 一時、発振を停止させる必要があったため特殊なトランスを必要とし、高価で難易度の高い装置になっていたのですが、 SCRの制御方法を変更したため、シンプルで安易に製作可能な装置である事を実証するためと、 発振回路を他励式にした方が、部品の入手がし易いと思われたからでした。 10種類程度のトランスにて試作、検討を行なった結果、 準他励式方式を採用したタイプをベーシックなタイプ( CDI製作記(4))としたいと思いましたが、 自作されるに当たり、入手可能な部品に制約が有り他励式を使用せざるをえない場合にも、十分参考にして頂ける様に 本コンテンツをまとめました。 トップへ
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